フリフラ雑記帳

フリップフラッパーズの考察、その他をダラダラかくブログです。不定期更新。

魔女の卵の目玉焼き

目玉焼きとは、固焼きですか?それとも半熟ですか?はい、中沢君っ!

~早乙女和子~

 

 

グリーフシードとは

 『魔法少女まどか☆マギカ』(以下まどマギ)は、普通の中学生であるまどかがひょんなきっかけから奇跡を売り歩くキュウべぇと契約し、魔法少女として悪の化身である魔女と闘う物語である。あr・・・である。魔法少女たちは、魔法を使うたびに”穢れ”を宿してしまう。

 さて、まどマギには”グリーフシード”なるアイテムが登場する。どうやらこれは魔女の卵らしく、十分に成長し力をつけた魔女が孕んでいるようだ。グリーフシードは一定量の穢れを吸着させ、払うことができる。

 

グリーフシードは本当に卵なのか

卵とは

 ところで、卵とは一体何であろうか。虫は卵を産む。魚も卵を産む。トカゲや鳥も卵を産むが、ヒトは卵を産まない。

 卵とは、有性生殖をおこなう生物の配偶子のうち、大きいもののほうのことを指す。配偶子というのは読んで字のごとく配偶される因子、つまり生殖細胞のことで、二つの配偶子が接合して新しい個体が生まれる。一般的に卵とかいてタマゴとよませるものは、これのうち比較的大型で、体外に産み出されるものをいう。平たく言ってしまえば、卵を産む生物には、オスとメスが存在するはずなのである。

本編中におけるグリーフシードに関する言及

2話:マミ「これがグリーフシード。魔女の卵よ。」
   マミ「運が良ければ時々魔女が持ち歩いてることがあるの」
   QB「大丈夫。その状態では安全だよ。むしろ役に立つ貴重なものだ。」
   マミ「私のソウルジェム、ゆうべよりちょっと色が濁ってるでしょ」
   マミ「でも、グリーフシードを使えば、ほら」(ソウルジェムがきれいになる)
   マミ「ね?これで消耗した私の魔力も元通り」
   マミ「前に話した魔女退治の見返りっていうのがこれ」

3話:病院にグリーフシードのトゲが刺さっており、孵化しかかっている。孵化すると結界が展開されるらしい。

5話:QB「この結界は、たぶん魔女じゃなくて使い魔のものだね」
   杏子「見てわかんないの?あれ魔女じゃなくて使い魔だよ?グリーフシード持ってるわけないじゃん」
   杏子「だからさ、四五人ばかり食って魔女になるまで待てっての。そうすりゃちゃんとグリーフシードもはらむんだからさ」

6話:QB「これでまたしばらくは大丈夫だ」
   さやか「うわ~真っ黒」
   QB「もう危険だね。これ以上の穢れを吸ったら魔女が孵化するかもしれない」

7話:浄化をしないで大量の魔法を使い、真っ黒に濁り切ったさやかのソウルジェム
   さやかの絶望とともにソウルジェムはグリーフシードへと生まれ変わり、魔法少女は魔女へと変貌する。

8話:ほむら「彼女のソウルジェムはグリーフシードに変化した後、魔女を生んで消滅したわ」
   ほむら「この宝石が濁り切って黒く染まるとき、私たちはグリーフシードになり、魔女として生まれ変わる」
   ほむら「それが、魔法少女になった者の、逃れられない運命」

まとめると、
・グリーフシードは魔女の卵で、これから魔女が生まれる。
・魔女を倒すとグリーフシードを落とす。
・グリーフシードは魔法の使用により蓄積したソウルジェムの穢れを浄化することができる
・普段はグリーフシードは安定した状態だが、ソウルジェムの穢れを一定量以上吸着させると孵化する。
・魔女の従えている使い魔は人を食って成長すると、グリーフシードをはらんだ魔女になる。
ソウルジェムを浄化しきれなくなったとき、ソウルジェムはグリーフシードに変化し、魔法少女は魔女となる。

公式ホームページにおける言及

ここで、公式ホームページの用語集*1もチェックしておこう。

倒した魔女が時々落とす魔女の卵。魔法少女が消耗した魔力を回復させるために必要なもの。

また、成長するとグリーフシードをはらむ使い魔についてはこのように開設されている。*2

魔女から分離した下級の怪魔。親元の魔女の結界で増殖し護衛役を務めるが、やがて独自の結界を張って自立するようになる。さらに成長すると元の魔女と同じ姿にまで成長する。

想像される生活環

 以上のことより、次のような生活環が想像される。

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 ぱっと見でわかることとしては、これはどうやら無性生殖らしいということである。確かに、アブラムシや一部のハチ(クリタマバチなど)のように本来有性生殖をおこなう種がメスだけで生殖をおこなう例もある。これは単為生殖と呼ばれ無性生殖とは区別されるのだが、作品中でオスの魔女というのは確認できない。

 紛らわしい点としては魔法少女が元は人間のメスであったという点で、この性質が魔法少女、および魔女にも引き継がれているのだとするとたまたまオスが存在しないことに起因する単為生殖となるのだろうが、契約による魔法少女への変身が全く別の生き物への変化だとすると無性生殖ということになる。あるいは、魔女への変貌時に性別を失っている可能性もある。そうだとすると、仮に契約によって男性が魔法少女になることがあったとしても、魔女の生殖は無性生殖ということになる。個人的にはこの線が一番濃厚そうだと思っている。

 使い魔に関しては、これは完全に無性生殖である。なぜなら、使い魔は成長すると「元の魔女」になるからである。遺伝的なミキシングは起こっていないとみていい。そして重要な点としては、使い魔は「元の魔女とは見た目が全く異なる」という点がある。つまり使い魔は遺伝的には同一であっても魔女のクローンではなく、別の存在として生活環の中に存在しているのである。また、使い魔はグリーフシードからは生まれない。グリーフシードから生まれるのはあくまで魔女であって、使い魔は魔女から生まれるものである。この辺が単為生殖の生物と異なる点で、単為生殖はあくまでも一つの生活環をベースに回っているのに対し、魔女は二つの生活環を持っているのである。

実在の生物で似た生活環を持つもの

 魔女のように、いくつかの生殖方法を状況によって切り替える生き物というのは現実にも存在している。先に挙げたアブラムシやクリタマバチもそうだが、種の単位ではなくもっと大きなグループでそのような戦略をとっている者がいて、これが実はカビである。

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子嚢菌の生活環、カワキコウジカビ(Eurotium)、文部科学省のホームページより*3

 カビの類は一般に有性世代と無性世代を持っていて、環境によってこれらを使い分けている。これは魔女とグリーフシード、使い魔の関係に酷似している。

形状から考えるグリーフシード

 ソウルジェムの色や形が魔法少女によって様々異なるのに対し、グリーフシードはどの魔女でも形は共通である。黒い球状の物体で、一端にトゲが生えている。

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グリーフシード*4

 3話の描写から考えると、このトゲは地面や壁などの場所にグリーフシードを固定するための機能があるようだ。ある場所に固定するためにトゲを用いるというのは、植物のタネを思わせる。例えば、タンポポの種にはトゲがあるが、これは地面に接地した際にしっかり地面に食いつき、再び風で飛ばされないようにという意味がある。

 そもそもグリーフシードは「シード」という名前ではないか。

 あまり卵らしいデザインではないと思う。

結論

 グリーフシードは卵というよりはカビの胞子に近いものだと考える。少なくとも一般的な動物の卵とは一線を画す存在ではありそうだ。